軽井沢辞典

2022.06.09

軽井沢民泊再訪~ディープな背景を説明します。

民泊という言葉を聞き出してかれこれ10年になろうかとしています。 軽井沢への民泊の波は急速に盛り上がり、そして訪れた民泊新法施工の激震、、そして今は民泊がわたしたちの日常生活に定着しようとしている時期なのでしょうか?

そもそも民泊とは何か?

民泊に対する根本的な理解を得るためには、建築基準法の用途地域を理解する必要があります。そもそも自由国家の日本に住んでいるわたしたちは、自由に行動する権利を持っています。ただし、、それが公共の利益に反しない場合という但し書きにおいてです。例えば、下水処理は絶対的に必要なサービスですが、それを銀座のど真ん中で行うことは、必ずしも公共の利益に合致しているとは言いにくいでしょう。

このため、一定人数の人が住んでいてある程度”都会”な場所では、都市計画法によって場所によってどのような経済活動を行うかの線引きを行っています。一般的な言葉でいうと、ゾーニングというやつです。これが用途地域です。

例えば、軽井沢の別荘地、、これのほとんどが一種住居専用地域という用途地域です。これはその名の通り人が居住することを主目的とする地域で、ここに人が平和、安全に暮らすためにさまざな経済活動が規制されます。例えば、パチンコ店をこの地域で営業することはできません。そして、規制されている業種の中に、旅館業が含まれるのです。これが民泊を理解する上でのキモとなります。

旅館業とは、”宿泊料を受けて人を宿泊させる業”とあります。つまり、おカネをもらって他人を家に泊まらせることです。そして、旅館業は許可免許です。つまり、原則禁止されていて、免許を取得すれば実施することができるということです。

話は変わりますが、わたしが初めて軽井沢に別荘を買ったのは22年前のことでした。東京暮らしであり、当然軽井沢のことを右も左もわからないわたしは、大いに不安でした。そして、貸別荘を1年くらい借りてその間に土地勘を養いながら土地探しをしようと思い立ったのです。

われながら良い考えだと思い不動産屋さんの扉を開けたのですが、そんなわたしにかけられたのは、不動産屋のおっちゃんからの一言でした。


”にーちゃん、軽井沢に別荘が欲しければ黙ってウン千万円持っておいでよ”

この一件は軽井沢の性格を結構適格に表していると感じています。つまり多くの人に取って軽井沢はステータスシンボルなのです。上流階級、富裕層だけの瀟洒な別荘地としての、、、
ちょっと古い言葉でいえば勝ち組のリゾート地、、、

だから、軽井沢の別荘には”わたしだけ”というバイアスが存在します。これはちょっと人間のダークサイドに関する話になってしまいますが、でも確実に存在します。

さて、旅館業が許可制であること、そして軽井沢の別荘地の大部分では旅館業を取れないことはすでに話しました。ということで、民泊が出てくる前は一見の観光客が別荘地に現れることはなかったわけです。せいぜい自転車に乗って、別荘地をウロウロするくらいですね。

しかし.2013年ころから拡大した民泊の波は、確実に軽井沢にも届きました。結果として、”1日から別荘生活”を体験することが可能になったのです。通常の賃貸でさえもなかった20年前とは大きな違いです。そして、当然のように軽井沢の別荘での民泊滞在は大きな人気を博したのです。

そもそも民泊の画期的な点は、住居にゲストを宿泊させて代金を得るという行為を可能にした点です。住宅は、最も基本的な建築物ですから、どのような用途地域でも建てることができます。民泊新法の正式名称が、住宅宿泊事業法というように、どこでも建てられる住宅で宿泊事業ができる、これが大きかったわけです。 そして、これは軽井沢の別荘地に一見の観光客ゲストが入り込んでくることを意味していたのです。歴史とステータスとプライドに守られた軽井沢の別荘地に、、、

ご承知のように、軽井沢町は”民泊を拒否”しています。このように軽井沢と民泊の歴史、背景を考えると、町がなぜこのようなスタンスを取っているかの理由の一旦が見えてくるような気がします。

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