
軽井沢辞典
2021.09.29
分かれる行政の対応~御代田と軽井沢
最近、文学愛好家を残念がらせるニュースが軽井沢から届きました。川端康成が小説の執筆を行った別荘が取り壊されることになったと朝日新聞が報じたのです。
その記事では、藤巻軽井沢町長の言葉として
「町が金利の負担までは難しい。(不動産会社は)歴史的、文化的な価値がどうこうというよりも、ビジネスとしての対応だった。どうにもならなかった」
期せずして隣町の御代田町からは、対照的なニュースが飛び込んできました。
”黒川紀章のカプセル別荘が宿泊施設へ。その全貌を徹底解剖!”
軽井沢の旧川端別荘とは反対に、黒川紀章設計のカプセルハウスKがなんと宿泊施設としてよみがえるというのです。
これらのニュースを聞いたときに、昔旅したスペインのパラドールを思い出しました。
パラドールとはスペインの国営ホテルで、なんとイスラム教徒時代のスペインの雰囲気が色濃く漂うアルハンブラ宮殿などの数々の歴史建造物に泊まることができるのです!

文化財を保存することは大切なことですが、その文化財を現代人が身近に活用することなしには、保存のための資金を確保することさえおぼつきません。
保存か経済か! との硬直した二者択一ではなく、
マネーフローを生み出す活用することで賢く保存する、知恵が求められるのではないかと思います、
宮殿もぶらぶら歩いて訪れるのと、そこに泊まるのではその体験の深さが全く違うものになるでしょう。
軽井沢の川端別荘なら、ここをリノベーションして快適に過ごせるようにして、そして文豪宿泊体験と銘打って宿泊を提供するというのはどうでしょう?
個人的にはすごく泊まりたい気持ちになります。
その意味で、黒川紀章建築をいたずらに保存することだけを考えるのではなく、宿泊施設として活用を決断した御代田町の英断に拍手を送りたいと思います。