軽井沢辞典

2023.03.27

断熱に関して見逃しがちのポイントとは?

多分このポイントはかなりの家造りのプロでも気づかないのだが、、、

我が家の脱熱材にはセルロースファイバーを使っている。これは古新聞を粉砕して再生された、木の繊維の綿みたいなものだ。これをブロワで圧をかけて、I平米50kgくらいにパンパンに詰め込む。

この作業は専門業者によって行われる。これがセルロースファイバー断熱の利点の1つ。これに対して、通常断熱材としてよく使われるグラスファイバーは、大工さんが手で押し込む。これにより、施工不良が起こりにくい構造になっているのが、セルロースファイバーの第1の利点だ。グラスウールだと、隅の細かい所までちゃんと押し込んでくれるかどうか、こんな施工監理をできる施主はいないからね。

しかし、それよりも大きい点が、ヴェイパーバリアの不在だ。

家の高断熱化はそのまま、壁体内結露との戦いでもあった。室内が暖かくなることは、中にいる人にとって当然素晴らしいことなのだか、それは室内と室外の温度差が拡大することを意味する。

外は零下の気温なのに室内は20度でポカポカ、、こんなときは20度も温度差がある。そして、壁の中に湿気が入り込むと大問題が発生する。結露が壁の中の柱や合板を腐らせてしまう。

だから高断熱でグラスウール断熱の家は、例外なく室内側をビニールで覆う。室内から入り込んだ湿気がグラスウールの中で結露しないために、、、これを称してVapor barrier 蒸気止と呼ぶ。

しかし、チューダーハウスにはこの壁の中のビニールはない。なぜか?セルロースファイバーはその名の通り元々は木だから、この細胞内に空洞がある。これを称してハニカム構造という。この空間がおるから、湿気をある程度吸ってくれる。つまり、濡れた新聞紙を想像すればわかりやすい。

14年前に建てた家で初めてセルロース断熱を採用した時、はたしてヴェイパーバリアを張るか否や、、専門業者もどちらもあり、、とも考えだった。そして、わたしははらないことを選択した。欲しいのは暖かい家であって、必ずしも高気密ではないから。

この考え方が正しかったことはその後の年月が証明してくれた。

木というものは、私たち人間にとってまっこと素晴らしき盟友た、

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