軽井沢辞典

2022.01.24

軽井沢森のスタジオ開設によせて~ アコースティックギターの音

軽井沢メイプルチューダーハウスは、わたしの軽井沢20年の経験に基づいて、どのような家なら、軽井沢の森で心安らかに過ごすことができるか? という観点から逆算して建てました。森に溶け込む木造建築であること、室内にいる1分1秒に感覚を掻き立てるために、人間に触れる室内インテリアはすべて自然素材とすること、何よりも、寒い軽井沢の冬でも快適に過ごせるために、高断熱の暖かい家とすること...

軽井沢で3軒目となるこの別荘を建てるにあたり重点項目としたのが、地下音楽室でした。

軽井沢は寒冷地であるので、凍結深度というものがあります。これはつまり、地表から下何㎝かは冬に凍って地面が持ち上げられるので、基礎が傾く恐れがあります。これを避けるために軽井沢では最低80㎝を掘り下げる必要があり、これは建築費用の増大につながります。

つまり、軽井沢の家ではだまっていても大きい地下空間がついてくるのです。個人的には、この軽井沢の家の床下空間をうまく活用することが、軽井沢でいい家を建てる鍵の1つだと思っています。

軽井沢メイプルチューダーハウスでは、基礎の一部をさらに掘り下げて、地下室とすることにしました。音楽スタジオを作るためです。木造の家の良さは多々ありますが、弱点の1つに室内の防音性の弱さがあります。木はとても良く音を伝えるので、室内防音が難しいのです。特に、20㎝無垢材を現しとしたチューダーハウスに置いては、これは大きな問題となります。

ある人が思う存分音楽をプレイしていても、他の人は心静かに読書ができる、、そのような遮音性に富む居住空間を得るために、地下室音楽スタジオを作りました。ここなら壁も天井も20㎝暑さのコンクリートで囲われていて、ピアノの音も、上の階にほとんで聞こえません。

今回、スタジオが完成しました。メイプルチューダーハウスのゲストの方には、チェックイン15:00から翌日12:00までの間、8,000円の追加料金でご利用いただけます。(スタジオだけのご利用に関しては、別途お問い合わせください。)

さて、森の音楽スタジオを作ったのは、わたしも演奏をしていて、バンドでリハーサルスタジオをよく使うからです。英国ではRockfield Studio という伝説的なスタジオがあります。街中ではなく、英国でのfarm、つまり農場の一角に建てられた異色の音楽スタジオで、オアシスなどのビッグバンドも録音に訪れました。

この軽井沢の森のスタジオも、バンド合宿、ピアノ練習など、よい環境の中で音楽に打ち込むという特別な時間を経験していただければと思っています。

さて、このスタジオでも当然ギターアンプを設置しています。1台はトランジスタ、もう1台は真空管アンプです。

ビートルズのジョンレノンは奥さんの別荘があった軽井沢に訪れてここを大層気に入って、亡くなる前に3年連続で軽井沢を訪れました。ビートルズはロックバンドとされていて、彼らの音楽ではエレキギターが有名ですが、ジョンはアコースティックギターも多用しました。彼の愛器、Gibson J-160Eは通常のアコギの外見にエレキギター用のピックアップを搭載した、当時としてはとても野心的なものでした。

ジョンの2代目ギターと同じ仕様の1964年製Gibson J-160E

黒い塗装に溶け込んで分かり肉ですが、ネックとサウンドホールの間の黒い部品がピックアップです。当然、これをアンプに繋いでエレキギターとして好きな音量で演奏することができます。

しかし、実はジョンは録音において、このギターのアンプを通じてよりも遥かに頻繁に、アコースティックギターとして使用したのです。 少しマイナーですが、Beatles for sale に収められた パーティはそのままに、などはこのJ-160Eの生音が実に印象的に使われた1曲です。

バンド録音に置いて、このアコギの音をどのように録音するか、は意外に微妙な問題です。ジョンたちが英国アビーロードスタジオで録音した際には、このギターの音はマイクを使って拾われました。パートごとに音を拾うレコーディングではこれでいいのですが、バンド演奏などでアコギの音を使いたい場合が厄介です。

ピックアップがついているからとそちらで音を出すとエレキっぽい音になってしまい、ジョンが弾いているような歯切れ良いジャキジャキした音にはならないのです。

このJ-160Eには、アコギサウンドをラインで出すためにピエゾピックアップが取り付けてあります。ピエゾとはセラミックを電気振動へと変換する性格を持ったセラミックを利用したピックアップです。

ピエゾを使うとどのギターでも同じような音になる傾向がありますが、わたしが使用しているモデルでは、比較的ギターとごの音を忠実に拾ってくれてます。

ピアノなどと比べて音が小さく、バンドでは使いにくいアコギですが、マイク、ピックアップなどを活用してバンドアンサンブルを楽しんでください。

森のスタジオではボーカル録音用にコンデンサーマイクもご用意しています。

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