軽井沢辞典
2.舞台~森、登場人物~樹々
軽井沢を軽井沢足らしめているのは、いうまでもなく森です。美しい大木の木々に覆われているのに、険しい山ではなく比較的平坦な土地が広がっているその地形が、軽井沢をヨーロッパにも似た特別な景観をもたらしているのです。
しかし、軽井沢が別荘地として見い出された明治時代では、意外にもそれほど大木がなく、どちらかというと草原が広がっています。(8ページの写真) 中山道沿いの宿場町とはいえ、作物もよく生育しない寒村だった軽井沢、住民が暖を取るために木々を薪として使ってしまったのでしょうか? しかし夏に訪れるには心躍る高原の風景です
それでは、元々軽井沢にはどのような木があったのでしょうか?
軽井沢の木としてまず思い出すのが落葉松~カラマツです。しかし、落葉松は明治時代に軽井沢に農場を開こうとした実業家雨宮啓次郎が植林したものだそう、意外にも軽井沢ネイティブの木ではなかったのでしょうか?
軽井沢の代表的な風景として親しまれている落葉松ですが、別荘にとって落葉松の葉は少々厄介者です。
針葉樹としては珍しく落葉し、落葉松の葉はなかなか腐らないので、別荘の屋根に降り積もってしまうのです。
それでも、秋深く他の樹々が葉を落とした後でもその三角形の樹形を保ち、風に吹かれるにつれその葉をはらはらと落とす落葉松は、軽井沢で広く愛されています。