軽井沢辞典
軽井沢の理想の家って? #3 ツーバイフォー
さてツーバイフォーの話をする前に、時代背景を少し見てみましょう。
木造住宅で古くあるのは、軸組工法です。簡単に言えば、木材を縦に置く柱と横に置く梁を組み合わせて家を形作る方法です。長い木材があって、どのように家を作ろうかと考えたときに、当然この発想が出てきますよね。
実際、森林が豊富で木の家が多く建てられた日本やヨーロッパでは、長らく軸組工法が主流でした。日本の古民家、そしてヨーロッパにハーフティンバーの家などはこれに属します。
ヨーロッパのハーフティンバーも日本の古民家も、どちらも縦横の木組みが構造のベースとなっていることが見て取れます。
さて、ヨーロッパからアメリカに多くの移民が来た時、アメリカ新大陸には森が広がっていて木材は豊富にありましたが、家を建ててくれる大工、職人は不足していたのではないでしょうか?軸組工法は合理的ですが、柱と梁をつなぐ際に仕口の加工が必要です。昔なら大工さんがノミをつかって刻んだあの仕口です。
また、産業革命が起こり工業技術が飛躍的に進歩した結果、木材同士をつなぐ仕口に取って代わる新技術が出てきたのです。釘です。釘と金具が入手できるようになって、今までのように木材に複雑な仕口を刻んではめ込まなくても接合できるようになったのです。
また工業化の進展によって、もうひとつの重要な部品がもたらされました。合板です。1797年にイギリスの技術者が、合板製造装置についての特許申請をしたとありますから、合板はかれこれ200年の歴史があります。19世紀中盤には丸太をかつら剥ぎするロータリーレースという機会が米国に設置されて以降、合板は安価な建築資材として世界中に広まったとWikipediaにあります。
合板は細い木材をはいで重ね合わせることでより広い面材として使うことができます。また、薄くはいだ繊維を交差するように張り合わせることで、木材の弱点である反りが軽減されています。
この合板に補強のためのStudと呼ばれる細い板を打ち付けて壁とする発想が生まれてきたのです。
このツーバイフォーの家を立ち上げる様子を見ると、ツーバイフォーの家では、壁=柱であることがよくわかります。それに対して、軸組工法では家を支えている構造はあくまで軸組、すなわち柱と梁です。
壁=柱であるツーバイフォーを成り立たせているのが、このように合板なのですが、薄くスライスした木を接着剤で貼り合わせた板だけでは、流石に強度が足りません。そこで合板に一定の間隔で木材を打ち付けて補強するのです。ツーバイフォーの家では、この木材を間柱、英語でstud と呼びます。ツーバイフォーとは、2インチx4インチという意味です、すなわち、5.08㎝ x 10.16cm 、これが合板に打ち付けられる間柱のサイズです。合板と間柱が一体化したプラットフォーム、これがツーバイフォーの家の構造そのものであるのです。
このように合板こそがツーバイフォーの家のベースとなっているといって過言ではありません。実は、合板は軸組工法でも仕様されています。これは合板を使って壁を一体化することで、家の気密性を高める効果があります。また、合板は一定の強度があるので、合板を張った壁に家を支える役割を与えることができるのです。
このように合板を張ることで、ツーバイフォーとのハイブリッドともいえる工法を指して、新在来工法と呼んだりもします。