軽井沢辞典

2021.04.06

オリジナル軽井沢とは❓

軽井沢は明治時代に外国人宣教者たちによって、避暑地として見出されました。

彼らが最初に軽井沢にやってきた明治時代初期、軽井沢は中山道沿いのひなびた宿場町でした。旧中山道は旧碓氷峠から遊覧歩道を下って旧軽井沢銀座へと降りてくるルートです。だから、宣教師たちも旧軽銀座沿いの愛宕山などに別荘を建て、ここがいわば別荘地としての軽井沢の第1歩となりました。文化も気候も全く異なる遠い異国の地日本にやってきた彼らは、カナダなど寒冷地からやってきてました。エアコンもなかった当時の東京の夏の灼熱は、これらの外国人宣教師に取りさぞかし過酷ででしょう。外国人宣教師は、標高1000mに位置する軽井沢の冷涼な気候を経験して、これぞ神の恩寵とばかりにさぞかし喜んだことでしょう。

外国人宣教師は当初愛宕山付近に粗末な別荘を建てて過ごしました。また、自分の別荘を持たない外国人たちを、万平ホテル創設者の佐藤万平氏は見様見真似の洋食を作ってもてなしたそうです。これが今は軽井沢を代表するクラシックホテルの万平ホテルの始まりでした。

だから旧軽銀座の先の愛宕山、そしてその南側の万平ホテルの辺りが原初の軽井沢と言えそうです。

旧軽井沢は東には群馬県側の急峻な碓氷峠、北には北軽井沢に向かう山地、西には離山と、三方を山に囲まれた谷の地形をしています。そしてこの地形に、宣教師たちは心の安らぎを感じたのでしょう。また、旧軽井沢はその湿気の高さが揶揄されるように、湧水の豊富な地でもあります。夏の盛りに万平ホテルの辺りを訪れれば感じますが、旧軽の大木に夏の日差しを遮られ、そしてセミの声が鳴り渡ります。三方を山に囲まれているせいで、セミの声が木霊して、なんとなくこの世のものではないような響きに聞こえてきます。
このような旧軽井沢の森に1週間、あるいはそれ以上滞在する。なんと贅沢な時間の過ごし方でしょうか?このようにして軽井沢は、自然の中の保養地として日本別荘地となっていきます。

その後明治後期から大正時代にかけて、日本人の経済事情も改善し、富裕層が台頭してきました。実業家、政治家、上級軍人といった人たちです。明治時代の脱亜入欧の機運もあり、彼らは西洋人のライフスタイルを旺盛に取り入れました。 日本人の軽井沢への入植がはじまったのです。旧軽井沢の北西部、鹿島の森は500-600坪といった大きな区画が石積みの腰壁に生前と区画され、いかにも高級な雰囲気を漂わせています。

軽井沢でこのような地形を持つ場所は、北は旧軽井沢の端、三笠ホテルから愛宕山付近、そして南は軽井沢駅の北側、東に向かって鹿島の森~離山のエリアです。実際、ここは軽井沢でも最も寒く、そして湿気が多い地域です。1年を通じて住むには、追分から御代田に向かって落ちる南斜面など、湿気が少なくて暖かい、より適した場所があるでしょう。この地域は、元々外国人宣教師が多く家を建てた愛宕山、万平ホテル、幸福の谷といったエリアとは少し異なった雰囲気を持っています。

このようにして、日本人の別荘が増えるにつけ、鹿島の森、離山、そして国道18号線の南側の南原、南が丘へと別荘地は拡大していったと思われます。

ジョンレノンが軽井沢に来ていた頃、定宿としていた万平ホテルから自転車を駆って、幼いショーンくんを載せて南原のカフェ、驪山房へと訪れたことは有名です。それというものも、旧軽から離山、そして南原は距離は5kほどあるものの、大体において平坦であって自転車で来れるのです。またこれらの別荘地は、企業が資金をかけて開発したわけではなく、ただそこにあった森が別荘地となった、このような自然発生的な成り立ちも軽井沢らしいといえます。

来るのは夏の間だけ、そこで三方を岡に囲まれ、大木に覆われて昼なおくらく、そして湧水が流れる旧軽井沢、そこに日がな聴こえるのはヒグラシの合唱のみ。

このエリアが軽井沢の上質のエッセンスを湛えた、いわばオリジナル軽井沢との称号を受けるにふさわしい場所のようです。



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