軽井沢辞典

2022.06.04

進化続ける軽井沢

以前の投稿でも述べた通り、軽井沢の発祥は、明治時代に外国人宣教師に避暑地として見出されたことにさかのぼります。 もちろん、それ以前の江戸時代にも軽井沢に人は住んでいましたから、それ以前も軽井沢は存在して人々が暮らしていたわけですので、発祥という言葉は適切ではないかもしれませんが、宣教師たちに見出される前は、軽井沢は日本どこにでもある高地の寒村に過ぎませんでした。

だから、今の軽井沢のような特別な場所という意味での軽井沢の発祥という意味です。

外国人宣教師はカナダなどの寒冷地の出身でしたから、神の愛の布教の大義に動かされてやってきた彼らに東京の灼熱の夏はつらかったことでしょう。このような彼らにとって、標高1000mの軽井沢の冷涼な気候は、神の恩寵にも思えたことでしょう。

明治時代初期と思われる軽井沢の写真、平坦な土地には驚くほど木がないことが見て取れる。

欧米列強に追いつけ、追い越せの明治時代、日本人の富裕層は宣教師の行動を見習い、こぞって軽井沢に別荘を構えました。このようにして軽井沢は、日本を代表する避暑地となったのです。

避暑地として軽井沢が、軽井沢1.0であったとすると、軽井沢2.0は軽井沢の通年化です。

話は変わりますが、日本の住宅の性能は米国などに比べて断熱性に劣っていたので、軽井沢の厳しい冬を快適にすごすことは難しいことでした。実際、軽井沢1.0の避暑地時代では、夏以外の別荘利用は想定されていなかったので、古い別荘では断熱材もまったく入れてないこともよくありました。5月の連休に別荘開き、夏には長期滞在、そして遅くとも11月には冬ごもりで別荘を閉めるというサイクルが、軽井沢1.0の利用方法でした。

1990年時代の輸入住宅ブーム、そしてインターネットの普及による情報化により、さしもの日本の住宅業界も変化を見せます。そして、高断熱、高気密が進み軽井沢の冬でも快適にすごせる家を建てることが可能となってきました。

寒い冬も含めて軽井沢を通年利用する、これが軽井沢2.0です。ざっといって2000年当りに建築された築0年以下の別荘はものによって高い断熱性を持つ別荘もあります。もちろん、家によって千差万別なので個別に確認する必要はありますが。ここにきて軽井沢の別荘はセカンドハウスへと進化します。

軽井沢2.0を実現させたもう1つの大きな要因はアクセスの改善でした。1998年の長野オリンピック開催に合わせて、長野新幹線、そして甲信越道高速道路が開通しました。これによって軽井沢は東京から電車で1時間、車で2時間の距離と大幅に短縮されたのです。これなら気軽に軽井沢を訪れることができます。

日本いえ世界を揺るがせた大きな出来事、コロナ禍を経て、最近軽井沢には新たな動きが見られます。30歳代の夫婦を中心に、軽井沢に移住あるいは、2拠点生活を考える人が増えてきたのです。

コロナ禍前でも軽井沢には東京に新幹線通勤を行う人が約200人いました。東京駅まで約1時間、快適な新幹線に座っての通勤ですが、さすがに定期代は月約12万円かかります。これがリモートワークの普及がゲームチェンジャーとなりました、週5日の東京への通勤はきつくても、これが週2,3日であれば経済的にも許容範囲となってきたのです。

これにより、軽井沢には移住ニーズが流れ込んできました。考えてみればセカンドハウス、文字通り2件目の家に5000円万円近くの大金を投じることができる富裕層は限定されています。しかし、1件目のメインの家の予算で見た軽井沢の不動産相場が魅力的に映ることは事実です。

夏限定別荘 → 通年利用セカンドハウス → 定住・2拠点生活の拠点、、と進化してきた軽井沢、、今後はどのような展開が待っているのでしょうか?

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