軽井沢辞典
2021.12.31
軽井沢別荘地探訪~旧軽井沢愛宕山
軽井沢は面白い場所だ。日本広しといえども、これほど多様性を持つ別荘地はないだろう。
個人的に”レアル軽井沢”と呼んでいる一帯がある。場所的には旧軽井沢の奥万平ホテルから鹿島の森、離山、国道18号旧道の南側南原、南が丘の一帯である。このエリアの特徴は、明治時代から軽井沢が別荘地として発展していく中で、一番最初に別荘が建てられた、いわば軽井沢発祥の地であるが、レアル=軽井沢の発祥地、と呼ぶ理由はそれだけではない。
この一帯は東には碓氷峠、北には北軽井沢へと向かう山、そして西には離山があり、三方を山に囲まれた谷間の土地。そして大木が林立して昼なお暗い印象だ。湧き水が豊富だから、空気もなんとなくしっとりとしている。
このような地形、風土だから、夏でも涼しい。避暑地としてはピッタリだ。
このレアル軽井沢の中でも、明治時代の最も初期に別荘が建てられ始めたのが、愛宕山。軽井沢の老舗中の老舗というわけ。
この愛宕山は旧軽井沢銀座から驚くほどに近い。旧軽銀座を上っていって途中を左に折れる、ゆっくり歩いても15分ほどで別荘地に着く。当然、旧軽銀座からは徒歩圏。
驚くのは人通りが多い旧軽銀座からこれだけ近いのに歩みを進めると、一気に深山の趣が強まること。古い石棚に囲まれた小道は、愛宕山の上り道であるが、それほど急で歩けないというわけではない。
旧軽井沢の別荘地というと、旧軽銀座の南側の万平ホテルの辺りの釜の谷、そして西側の鹿島の森が代表的だ。これらのエリアは、ほぼ平坦地で、長野県での別荘の最低単位300坪の敷地が整然と並んでいる。でも、愛宕山は山の起伏地で、別荘地も地形に合わせて柔軟な形をしている。そしてこの縦横無尽さが、逆に山っぽさ、一種のワイルドさを醸し出している。
このような魅力溢れる愛宕山、しかし実は旧軽銀座よりの”ふもと”と5~10分ほど細い道を上った”上”とで全く違う世界となっているのだ。
愛宕山の麓は300坪以下の小さい敷地、そして600坪2区画以上はあろうかと思われる広い敷地にガラス窓を大きく取った瀟洒でモダンな別荘が混在する。このエリアの土地は多分坪20万円以上はするものと思われる。
しかし、愛宕山の”上”では様相が一変する。敷地も傾斜勝ちになり家が建てられていないままの土地も多く目につく。また建てられて50年は経つと思われる古別荘が放置されている。明らかにこれらの家はもはや使われておらず、そのまま放置されています。
実際にこの愛宕山の”上”の売物件に、300坪1500万円というものがある。つまり坪単価5万円。
坪20万円 vs 坪5万円、300坪の土地にして6000万円と1500万円。 ほんの500mほどの距離の違いなのに、この違い!
みなさん、何が原因だと思われますか?