軽井沢辞典
2021.09.22
軽井沢の理想の家って? #2 木の家あれこれ
家造りで最も大切なものが構造です。家の形が維持できないと、それは家とは言えなないですから、当たり前です。
さて日本の家のどのような材質でできているのでしょうか? 多分多くの人に最もなじみがある木造、木の家はどれくらいの割合?
総務省統計局の調査によると、木造住宅の割合は平成元年には73%ありました。それが平成20年には58.9% まで低下しましたが、その後は木造の低下に歯止めがかかり直近の平成30年では56.9% と過去15年ではほぼ横ばいです。
木造以外の工法としては、鉄筋・鉄骨コンクリート造、鉄骨造があります。
それぞれの工法に一長一短がありますが、実際問題として木造が一番安いことが多く、それゆえに選ばれることが多いのではないでしょうか?また、木の家というイメージに親しみを持つ人も多く、軽井沢の家では断トツで採用されることが多い工法でしょう。わたしも木の家が大好きです。
しかし、一言で木造といっても実は底がとても深いのです。
まずは、Skelton Infillという英語を覚えてください。Skeltonというのは骨組、つまり構造です。Infillというのは内装です。家造りにおいてこの2つを分けて考えることは実はとても重要です。日本だと、家を建ててくれる人のことを大工と呼びますが、実は米国では FramerとCarpenterという2種類の大工さんがいるのです。Framerとはその名の通りフレームを組む人、そしてCarpenterとは内装専門の大工さんです。そういえば、70年代を代表する名デュオにCarpentersというグループがいました。英語では内装工さんたちです。
例えば、建売住宅などで木造であっても、あまり木の家という印象を受けることがない家があります。これはどういう理由によるものなのでしょうか?
実はSkelton=構造に木を遣うということと、内装に木を使うということは全く別物です。例えばRCコンクリート造の家であっても、内側の壁一面に木の板を張ったらどうでしょうか? これは一見、木造?と思われることでしょう。
反対に構造が木造であっても、“木の家”という印象を抱かせない家、これはつまり柱と梁が壁と天井に隠れて見えなくなっていて、また内装にも木をあまり使っていない場合は、こういう印象になります。
Skelton Infill、構造と内装を分けて考えることは、後々あなたの家造りに必ず役立つ考え方なので、ちょっと覚えておいてください。
さて、先ほど木造であっても柱と梁が隠れて見えない家のことを話しました。こういう家は、”大壁”を採用しています。大壁とは柱を入れて隠してしまう壁のことを言います。木造でも洋風な家は大体この大壁を採用しています。
大壁の反対概念は何でしょうか? つまり、柱が壁に隠れずに室内から見えているような家のことです。これを真壁といいます。う~ん、真の壁ですか?中々含蓄がある言葉です。
元々真壁は日本古来の家に使われてきました。和室の壁にはヒノキの柱が見えてますよね?これが真壁です。日本古来の木造建築は、木造軸組工法と呼ばれます。木の柱と梁で家を形作っていく方法です。江戸時代まではこの方法で家が建てられてきましたが、明治時代になって欧米から新しい木造の考え方が入ってきました。
飛躍的に進歩した技術、特に釘の入手が容易になり、柱と梁を接合するのに釘が使われ出しました。それまでは、仕口といって柱と梁をプラスとマイナスの形に刻み、そしてそこに木栓を打ち込んで接合していたのです。明治時代に入ってきたこの新しい木造を在来工法と呼びます。それと区別して以前の工法を木造伝統工法と呼んだりします。主な相違点は、柱の太さ(在来になって細くなった)そして柱と梁の接合方法です。
さて、開拓時代の米国では、木造軸組とは別種の木造が発展してきました。
ツーバイフォーと呼ばれるこのもうひとつの木造に関しては、次の投稿で見ていきたいと思います。