軽井沢辞典

2021.10.12

軽井沢の理想の家って?#6 断熱2

断熱に関する2つ目の投稿です。

軽井沢は元々避暑地として人気が出ましたが、それが今では通年を通じて滞在する人がほとんどです。住宅の断熱性能が上がり、それによって軽井沢の厳しい冬でも快適に過ごすことができるようになったことが大きいのです。

かつての避暑地時代の軽井沢の別荘には、壁に断熱材がはいっていないことがほとんどでした。当然、これでは断熱、気密性能が低すぎて冬に滞在するには不適当でした。そして、今ではこんなことは当然ありません。どの家でも、壁、天井には断熱材が入れられています。しかし、先の投稿で説明したように、断熱材の種類は多々ありますし、また充填断熱と外張断熱の違いがあります。

つまり、建築業者によって断熱への考え方はかなり異なるということに気を付ける必要があります。

業者によって考え方が異なる点の代表的なものとして、足元の断熱が挙げられます。

この写真の別荘は約20年前に建てられました。大きく取られている基礎に注目してください。左側に大きな空間が空いているのに気づかれると思います。この状態の基礎では、当然外気は基礎の中に自由に入ってきます。つまり、この家の冬の床下は零下の温度なのです。

この家も含めて、従来から一般的な方法として、床で断熱材が施されました。基礎の上に置かれている土台の木材の耐久性を上げる目的からも、基礎の中の空気が動くことが重視されたのです。

それに対してこの写真の家の基礎は閉じられています。レンガの化粧張りがあるところがこの家の基礎ですが、この家の基礎には通風口がなく閉じられているのです。つまり、基礎の中の空気の流れをよくして土台を保護するという考え方が取られていないのです。

このような考え方を基礎断熱といいます。

一般的にはあまり理解されていないのですが、家が床断熱か基礎断熱かという点は、住み心地を大いに左右します。

基礎内に外気が自由に出入りし、そこからの冷気を床で遮断する床断熱の場合、足元の冷えを防ぐには、床断熱の施工方法を念入りに考える必要があります。率直にいって、断熱をあまり重視しない建築業者が”普通”に床断熱を施工した場合、どうしても足元が冷えるケースが多いのです。

当然、これは不快であるので、この足元の冷えを防ぐための手段として人気があるのが床暖房です。

床暖房には以下のような問題点があります。

1つには床暖房がある床とない場所では温度差が大きいこと。また床暖房の温度が一般的に高いので、人によっては暑すぎると感じる人がいます。

個人的にそれよりも大きな問題だと感じるのが、床下が零下の温度であるため床暖から逃げる熱量が多いことです。すなわち、基礎に通風孔が開けられた家で床暖を施すのは、ザルに水を注いでいるのに似て、エネルギーの無駄が大きいのです。

基礎断熱を選んで、床下を密閉空間にする場合、いくつかの注意点があります。

まずは昔の別荘に見られた独立基礎では基礎内が空間的に区切られることがないので、これははなから基礎断熱にはなりません。ですから、最低でも家の周りをぐるっとコンクリートで囲った布基礎にする必要がありますが、まあ最近ではこれは普通でしょう。もちろん、より耐震性に優れたベタ基礎なら問題ありません。

気を付ける点の1つは土台の木材の防腐処理。基礎断熱では床下を室内空間とみなすわけで、床下の空気が室内に流れてきます。もし、土台の木材に有害な防腐、防アリ処理剤が施されると、これが室内に流れ込んで健康被害を及ぼす可能性があるのです。

ですから、防腐剤が空気中に発散しにくい加圧注入土台、あるいは、薬剤処理なくしても耐久性の高いヒノキ、ヒバ、クリなどの樹種を使用することが望ましいです。

基礎を通風孔がないコンクリートでは気密は取れますが、しかしコンクリートの断熱性はそれほど高くありません。基礎部分から室内の暖かい熱が外に逃げることを防ぐために、基礎に断熱材を施す必要があります。

いろいろ考え方はありますが、基礎のコンクリート底、基礎の外側に板状の断熱材で被う方法が一番入念な方法です。 これだとコンクリートの高い蓄熱性も利用できて一番理想的ですが、しかし当然コストも高くつきます。個人的には、基礎の立ち上がりに内側から断熱材を貼り付ける方法が、コストもそれほど上がらずまた断熱効果も高いと考えています。

寒冷地軽井沢の冬の滞在を快適にするかどうか、それには床断熱かあるいは基礎断熱のどちらを採用するかが大きく影響します。これから家を建築される方は、ぜひ充分に検討してみてください。

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